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第1回 堂々巻頭インタビュー付き! もう引き下がれないぞ!!(2001年4月号/2001.03.17.)

 山がある。山の向こうにはまた山。つらつらと続く道の向こうには、何か長いものを(釣り竿?)手にした老人の姿。手前の方にはピクニックに来たのか、大きな黒猫と小さな白猫(どうやらこちらはニャトソン君という名前らしい)がおむすび弁当を広げて食べている。そしてその猫たちのちょうど上方に大きめの字で次の様に書かれている。

 「七年ぶりの長編、ついに連載スタート! 法月綸太郎「生首に聞いてみろ」」

 ――はぁ、感無量ですねぇ。この日をどんなに待ち望んだことか。
 法月綸太郎氏の7年ぶりの連載、「生首に聞いてみろ」が掲載されるのは、角川書店のムック(そう、実はムック扱い。確か角川は雑誌はバックナンバーは取り寄せ不可なのですが、これはムックだから在庫さえあれば取り寄せできます。まだの人は急いで!)「KADOKAWAミステリ」2001年4月号からです。当初角川書店50周年記念出版企画として書き下ろし単行本として企画された「生首〜」は、あまりに長期間にわたり完成されないのに業を煮やしたらしい編集者の策略によって(多分。推測100%)雑誌連載へと軌道修正をなされました。なにはともあれ一ファンとしては法月氏の小説が読める、というだけで万々歳です。ああほんまによかった。しあわせ。

  しかも表紙にでかでかと載っているし、巻頭からインタビューもあるし、これはもしやもう引き下がれない環境へと持っていくことによってプレッシャーを与えて連載を続けさせる角川側の深いたくらみがあるのかもしれません。
 巻頭のインタビュー(これのみ、角川書店のWebサイトから閲覧できます)でも、「物理的に締め切りを課して参りますので」とさりげなく恐いことをインタビュアーの人が言ってます。インタビューは長編の構想が練られていた6年間なにをしていたか、とか、デビュー当時の話、作品の作り方などを中心に進められました。銀行員時代のエピソードなどが新しいところでしょうか。

 インタビューのすぐ後が連載部分です。量は400字詰原稿用紙で60枚くらい。関ミス連の講演会でおっしゃってた50〜70枚にちょうどはまってるので、ほぼ予定通りなんでしょう。第一部と銘打たれてます。問題は第二回でしょうかね、やはり。これがすぐ発表されればちょっと期待が持てそう。

 で、内容ですが、今回妙に日付に関する記述が多い。あれ、こんなに限定されてたっけ? と前の作品を読み返したくなりました。小説中は9月9日、年は「地震とオウムの年」(1995年)から3、4年ということから1998〜1999年ごろの話の様です。他にも1990年2月に容子と再会、とか1995年にスレンダー・ガールが解散とか、これだけばんばん年代を出されると年表を作らざるを得ないじゃあないですか。仕方ない、今度やってみます。宿題。
 そういえば以前どこかのインタビューか対談でも年代を特定しているとか数年前のことを書くようになっているとかいう話をされていたと思います。どこでか忘れたので(東さんのかな?)これも宿題。作者法月氏と作中の名探偵綸太郎が同い年なら1999年だとすると35歳。あ、まだ若いんだ(←失礼)。

 容子の名前が出ましたが、本人はまだ出てきておらず彼女の結婚などの話が共通の知人の口から語られるだけ。今回容子さんは登場するのでしょうか。すごくバリバリ仕事、していて忙しそうだってことは出てこないのかも。この辺もこの連載の注目ポイントです(苦笑)。
 登場人物についてですが、まず田代周平。高校での2年後輩で、容子とも顔見知り。地道に活動している広告カメラマンで、芸術写真も撮りつづけていて、今回写真展が行われました。
 その田代の大ファンだという女の子、川島江知佳。結構美人らしい。芯の強そうで、ハキハキした感じが綸太郎好みの様です。
 江知佳の叔父の、川島敦志は綸太郎とも知り合いの、ベテラン翻訳家。四年前、左眼の網膜剥離の手術を受け、サングラスをよくかけている。江知佳の父であり敦志の兄である彫刻家の川島伊作は、名前だけの登場ですが、兄弟は昔何か確執があったらしく長い間絶縁状態だったとか。この辺りの謎も、本編にかかわってきそうです。
 綸太郎の知り合いが続々と登場してきたので、今回は昔を振り返りつつ人物紹介をする、という形に近いです。知人系でいくと枢機卿なんかもそのうち出てくるのかしら。彼は綸太郎より2つ年上の、「学生だったころの」友人(出典は『誰彼』)だから、関係はないかもしれないけど。
 結局今回はまだ事件は起きていないんですが、川島兄弟とか、江知佳の描写にあやしげなところがあるので、事件はそのへんから入ってくるのが妥当なところでしょうね。大胆に予想をするなら、巻頭インタビューでの当初のアイデア「等身大の人物の彫刻があって、その首が切られて、モデルになった人の首がそこに乗っている」がそのまま使われるとするなら第一の被害者は江知佳の可能性が高いでしょう。だから魅力的に書かれてるのかもしれません。

 ああ、続きが気になりますね。60枚って読むと短いこと。来月も無事、載りますように…。

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